村田真のXMLブログ

日本人で唯一W3CのXMLワーキンググループに参加しXMLの標準化プロセスに携わったXMLの生みの親、村田真さんのブログです。

OOXMLとODF アーカイブ

解説:Open Document Formatの標準化について

この記事は、社団法人 情報処理学会 情報規格調査会のNews Letterのために執筆したものであり、Webでもすでに掲載されている。許可を得て、ここに転載する。


ワードプロセッサやオフィスソフトは広く普及して久しい.これらの間で文書を交換するために文書フォーマットを標準化することが1980年代から試みられてきた.しかし,ハイパーテキストのフォーマットであるHTMLを除いて,文書フォーマットの標準化は失敗を繰り返してきた.例えば,ODA (ISO/IEC 8613)は普及せず,まもなく廃止される見込みである.SGML(ISO 8879)は,マニュアルなどには用いられたが,ワードプロセッサやオフィスソフトの間での文書交換には用いられていない.

 ところが,Open Document Format(ODF)がOASISによって制定されるに及んで,状況は変わってきた.ODFに対抗して,マイクロソフト社はOffice Open XML(OOXML)をEcmaに提出している.両者の競合関係は,メディアでもよく取り上げられるようになっている.

 以前の試みと比べると,ODFを取り巻く状況は以下の点で大きく異なる.

実装先行
ODFは,Open Officeというオフィスソフトの文書フォーマットが元になっている.つまり,ODFでは,仕様よりまず実装が先に存在した.一方,以前の試みでは,本格的な実装が現れずに終わることが多かった.


企業の利害

マイクロソフト社によるオフィス製品の独占状態に対抗することが,ODFを推進する側(サンマイクロシステムズ社やIBM社など)の目的であることは間違いない.以前の試みは,どの企業にとっても中立的な仕様を目指したが,その分だけエネルギーに欠ける憾みがあった.

囲い込みを嫌うユーザ

ワードプロセッサやオフィスソフトの利用者は,以前とは比べ物にならないほど多い.その中には,特定の製品に囲い込まれることを嫌う利用者もいる.とくに,国民に分け隔てなく情報を公開する義務をもつ電子政府は,文書フォーマットの標準を求めるようになってきた.マサーチュセッツ州がODFを採用することを打ち出したことが,ODFが注目される大きな契機となった.

 ODFの標準化の道筋を簡単に振り返る.もともと,ODFはサンマイクロシステムズ社から,2002年12月に標準化団体 OASISに提案された.OASISのOpen Document Technical Committeeにおいて,ODF 1.0が制定され,2005年5月にOASIS規格となった.

 OASISは,ISO/IEC JTC 1によってPAS Submitterとして承認されているためPAS手続が利用できる.ODF 1.0は,PAS手続によって2005年11月にJTC 1に提出され,ISO/IEC DIS 26300となった.JTC 1はDIS 26300を6ヶ月投票に付すとともに,SC 34に割り当てた.この投票ではすべての国が賛成であったため,コメント審議ミーティングを開催せずにISO/IEC規格となることが,2000年6月の SC 34ソウル会議で決定した.今後は,PAS SubmitterであるOASISがコメント処置文書を作成し,最終的なテキストを準備する予定である.

 DIS投票において,すべての国が賛成投票をしたのは,ベンダ固有の閉ざされた文書フォーマットからオープンな文書フォーマットへの動きを支援するためであると筆者は思う.ここで言うオープンとは,公開された場で議論され,決定権が非営利の委員会にあり,RAND以外の知的所有権が見つかっていないことを意味する.ODFは,オープンな文書フォーマットであることは衆目が一致するが,決して完璧な仕様ではない.普通なら,技術的なコメントをつけて反対し,コメントが受け入れられれば賛成に回るとする国が現れるところである.

 ODFが普及するかどうかはまだ明らかではない.現在,ODFの対抗馬として,Office Open XML(OOXML)がEcmaにおいて審議されている.これはマイクロソフト社がEcmaに提案したものが元になっている.Ecmaは,Office Open XMLをEcma標準とし,2006年12月にはJTC 1に迅速化手続きによって提出する予定である.

 しかし,ODFの出現によって,オープンな文書フォーマットへの動きは決定的なものになったと考えられる.SC 34ソウル会議でも,Ecmaの代表は,Office Open XMLがオープンな文書フォーマットであることをしきりに主張していた.

 OOXML が6ヶ月投票に付されたとき,日本として賛成するのか反対するのかは決まっていない.しかし,オープンな文書フォーマットが,日本国内の利用者や生産者にとっての利益であることは疑いない.まず必要なのは,OOXMLがオープンであるかどうかをきちんと確かめることだろう.

 ODFもまだ完成したわけではなく,アクセシビリティなどの課題を数多く残している.今後もOASISで拡張され,JTC 1へのPAS Submissionによって再度投票に付されるものと思われる.

 なお,ODFはJIS化を予定しており,2006年7月から原案委員会が活動を開始する予定である.

参考資料へのポインタ

http://en.wikipedia.org/wiki/OpenDocument
http://en.wikipedia.org/wiki/Open_format
http://en.wikipedia.org/wiki/Open_standard
http://www.consortiuminfo.org/standardsblog/
http://www.oasis-open.org/committees/office/

投稿者: 村田 真 日時: 2006.12.10 | | コメント (0) | トラックバック (1)

OOXMLの審議への参加希望か?

ISO/IEC JTC1 SC34に参加する国が急増している(参加国のリスト)。SC34は閑古鳥が鳴いていたが、P-memberが急に増えた。

原因ははっきりしないが、一つの可能性として考えられるのが、OOXMLの審議への参加である。OOXMLが、ISO/IECにfast-track手続きによって提出された場合、ほぼ間違いなくSC34に割り当てられる。JTC1のP-memberなら、投票にもコメント審議にも参加できるが、SC34のP-memberであるほうが便利なことは間違いない。

追記: 加わったのは、インド、スイス、ドイツの三カ国。

投稿者: 村田 真 日時: 2006.12.27 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLがついにISO/IECに提出された

2006年12月21日に、OOXMLがISO/IECにEcmaからfast trackによって提出された。プロジェクト番号は29500である。

これから、一ヶ月の期間で、OOXMLが既存のISOやIEC規格と矛盾していないかの検討が、JTC1によって行われる。つまり、各国は、矛盾しているという指摘をする機会がある。矛盾しているという結論が出れば、6ヵ月投票は行われない。そうでなければ、6ヵ月投票が始まる。

OOXMLとODFは矛盾しているだろうか? これは、矛盾という言葉をどう解釈するかという問題でもある。無線などのように、方式Aのせいで方式Bがまったく動作しなくなることだけが矛盾であるという解釈もある。もちろん、すでにISO/IEC規格であるODFに、OOXMLは矛盾するという解釈もある。

追記:
JTC 1 fast track submission: Explanatory report on Office Open XML Standard
JTC 1 fast track submission: Licensing conditions that Microsoft offers for Office Open XML

投稿者: 村田 真 日時: 2007.01.03 | | コメント (2) | トラックバック (0)

@ITにインタービュー記事が掲載された

@ITからOOXMLのISO/IECでの標準化手続きについて、インタービューを受けた。記事は、ODFとOOXMLが今夏ISOでガチンコ勝負

投稿者: 村田 真 日時: 2007.01.17 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLの30日間レビュー

迅速化手続き(fast-track procedure)によってISO/IEC JTC1に提出されたOOXMLのその後について書く。提出から30日間の猶予期間があって、その間に各国から既存の標準と矛盾するから取り下げるべきだという提案が可能である。

Andrew Updegroveのサイトに公開されているように20ヶ国が、この機会を利用してコメントした。各国のコメントがどのようなものかは分からない。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.02.15 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLの30日間レビューその後

EcmaからISO/IEC JTC1にfast-track submissionされたOOXMLは、30日間レビューの間に20ヶ国からのコメントがあった。このコメントをEcma TC45は審議し、回答を作成した。回答(各国のコメントを含む)は、Computer Worldのページにある。

今後はどうなるのか私にもよく分からない。6ヵ月投票が始まりSC34へと舞台は移るのか?それとも6ヵ月投票は始まらないのか?SC34に、Ecma TC45はリエゾンレポートを送ってきた。再来週のオスロSC34会議で、より詳しい情報が得られるかも知れない。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.03.12 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLの五ヶ月投票が開始

OOXMLの五ヶ月投票が開始されることになった。ODFと矛盾するという指摘をした国は多かったが、投票そのものは開始されることになった。長文の回答が寄せられた以上、JTC 1 SecretariatとITTF staffがこう判断したのは、驚くべきことではない。関連する記事として、Andy Undegroveの記事Computer Worldの記事Groklawの記事をあげておく。

今後は、五ヶ月投票に焦点が移る。最近のニュースとして、同じくfast-track submissionされたC++/CLIが、投票によってキャンセルされた。各国のコメントを満足するような解決は無理という判断によるようだ。

なお、Rick Jelliffeeの二つの記事(これこれ)をあげておく。彼の言っていることをよく読んで冷静になろう。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.03.18 | | コメント (0) | トラックバック (0)

イギリスがOOXMLの五ヶ月投票に異議を申し立てた

イギリス(正確にいうとBritish Standard Institute) が、OOXMLについての5ヵ月投票を行うというJTC1の決定に異議を申し立てたと聞いた。決定がなされたあとでのアピールであるが、手続きとして認められている。しかし、私の予想では、多少投票が遅れる程度の影響しかもたらさないだろう。イギリスも、そう思っているようだ。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.03.28 | | コメント (0) | トラックバック (0)

ODFのJIS化作業

ODFはJIS化が予定されている。すでに原案を作成する委員会が発足し、翻訳作業を行っている最中である。私が委員長を勤めている。

現在、機械翻訳に得られた訳文を人手で修正(場合によっては全面書き直し)している段階である。原文の意味がとても分かりにくい(舌足らずな説明!)なため、作業は難航している。

今日はODF規格書(これはODF文書)から、図表とRELAX NGスキーマだけを残し、地の文と箇条書きをすべて削除するXSLTスタイルシートを作成した。得られるのもODF文書である。JIS原案はWord文書として作成することになるが、Open OfficeでWordへの変換は可能である。こういう作業が出来ること自体、XML化のメリットであることは間違いない。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.04.25 | | コメント (3) | トラックバック (0)

ODFへのエラー報告

ODFを翻訳し、JIS原案を作成していることを前回に書いた。その過程で、ODF 1.0に数多くの誤りを発見した。本文中のタグ名とスキーマ中のタグ名が違うなど、明らかな間違いである。specifiesをspeciesと書き間違えたなどの編集上の誤りも多々ある。これほど多くの明らかな誤りがある仕様はきわめて少ないと言える。

ODFへのコメントメーリングリストのアーカイブを見れば、日本からのエラー報告が見つかる。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.05.13 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLの国内審議

国内SC34委員会でも、OOXMLについての検討が始まっている。
最終的に投票するのは、国内SC34委員会ではなく技術委員会だ
が、国内SC34委員会での議論の結果は当然考慮されるだろう。
5/31の国内SC34委員会は、OOXMLについての議論だけで数時間を
費やす予定であり、マイクロソフト社の委員には多くの宿題を前回に
お願いしている。

しかし、ODFとの重複については、技術委員会での議論で決着す
ることになるだろう。国内SC34委員会は、技術的な検討をしっかり
しておきたいと個人的には思っている。


投稿者: 村田 真 日時: 2007.05.26 | | コメント (0) | トラックバック (0)

国内SC34におけるOOXML審議

国内SC34で、OOXMLにどう投票すべきかの議論が始まっていることは前の記事で書いた。議事録や資料などは、国内SC34専門委員会審議のページから入手できる。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.06.01 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLのPart 1

Part 1を読み始めたところである。コメントしたいところはいろいろ
あるが、読めばだいたい分かるようには書いてある。実装と
照らし合わせると、まず分かるだろう(急いで言い添えておくと、
特定企業の商品がreference implementationになることは
規格として好ましいことではない)。

OPC(open packaging convention )を実装しているRELAX NGスキーマ
はほぼ正しい。少し修正すれば問題なく使える。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.06.06 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLのスキーマ

OOXMLのスキーマには、W3C XML SchemaとRELAX NGがある。

W3C XML Schemaの版は、そのままではXerces-Jでは動作しない。同じ名前空間に対していくつかのスキーマがimportされるのがその理由らしい。同じ名前空間のスキーマすべてをincludeでまとめるスキーマを作り、それをimportすると動くという報告がある。しかし、OOXMLのすべてのルートスキーマについて試したわけではまだない。

RELAX NGの版は、いろいろ文法エラーがあり、そのままでは動作しない。現在、書き直しを行っている最中である(XSLTやRubyでプログラムを書いている)。書き直せるという感触はあるが、OOXMLのすべてのルートスキーマについて試すのはそれなりに大変である。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.06.16 | | コメント (0) | トラックバック (0)

SC34の参加国がまた増えた

ISO/IEC JTC1 SC34のページにあるように、SC34の参加国がまた増えた。Cyprus, Finland, France, Kenya, Trinidad and Tobagoである。これは何を意味するのだろうか?なお、SC34のつぎの総会は京都で行われる。これにあわせて、OOXMLのコメント審議ミーティングも日本で開催される可能性がある。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.06.18 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLへの投票私案

まだまだ、OOXML Part 1とスキーマぐらいしか見ていないので、もっとコメントすべきところは多いと思う。追加すべきことを指摘していただけるとありがたい。

なお、ODFとOOXMLの関係についてはまったく触れていない。これは、技術委員会で議論すべきことであるし、他の人より適切なコメントが私に出せるかどうかも分からない。私だけに言えることがあるとしたら、ODF規格書の品質がきわめて低いこと、過去の文書交換フォーマットはすべて無残に失敗してきたことの二つだろう。

1. Major Technical

- MSXML can handle the W3C XML Schema version of the OOXML schemas,
but we find no other validators can handle it. Reorganize it so that
it can be handled by Xerces-J and MSV at least.

- The RELAX NG version of the OOXML schemas are incorrect. Replace it
by the upcoming proposal from the Japanese member body for SC34.

- Unless the "pack" URI scheme is endorsed by IETF, it should be
dropped.

- OPC, without interleaving, should become an independent standard.

- Non-ASCII characters should be allowed as part names without relying
on %HH.

- The Custom XML Mappings Part of the SpreadsheetML should allow the
use of RELAX NG. At present, it is restricted to W3C XML Schema.

- Markup Compatibility, without PreserveELements and
PreserveAttributes, should become an independent standard.

- Application Conformance should be dropped. Better leave users make
the call. Moreover, by dropping application conformance, it becomes
obvious that implementations are allowed to ignore legacy features
and so forth.

- WordProcessingML should become a single part of the OOXML standard,
and document conformance for WordProcessingML should be clearly
defined.

- PresentationML should become a single part of this standard, and
document conformance for PresentationML should be clearly defined.

- SpreadsheetML should become a single part of this standard, and
document conformance for SpreadsheetML should be clearly defined.

- Is it possible to use VML and Math without standardizing them as
part of OOXML? Note that macros are already used without
standardization and the namespace of VML is Microsoft-specific.

- DrawingML should be devided into more than one sub-language. (See
http://www.asahi-net.or.jp/~eb2m-mrt/ooxml/dependencies.html.)
One possiblity is to introduce one sub-language per namespace. The
namespaces are:
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/chart
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/chartDrawing
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/compatibility
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/diagram
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/lockedCanvas
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/main
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/picture
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/spreadsheetDrawing
http://schemas.openxmlformats.org/drawingml/2006/wordprocessingDrawing

2. Major Editorial

- Do not use "may not".

- Do not introduce yet another definition of the word "type".
We already have at least three (XML, W3C XML Schema, and MIME).

3. Minor Technical

- Why XSLT transformation is optional? Why it is applied only on save
(not on read)?

- Are arbitrary binary data allowed as custom property parts? If so,
why is the content type fixed?

投稿者: 村田 真 日時: 2007.06.22 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXML Part 2 (Open Packaging Conventions)についてのコメント私案

Part 2 (Open Packaging Conventions)についてのコメントです。前の
エントリーに書いたものとは一部重複しています。

1. Drop the "pack" URI scheme unless it is endorsed by IETF.

2. Publish OPC as an independent standard rather than a part of OOXML.

3. Non-ASCII characters should be allowed as part names without relying
on %HH by mandating the UTF-8 encoding. Conversion to %HH should
be avoided wherever possible, as other standard organizations have
learned (after much pain).

4. Drop interleaving since it is not used by OOXML.

5. Do not copy normative text from the W3C Recommendations
"XML-Signature Syntax and Processing".

6. Allow the use of DTDs.

7. Mention the markup compatiblity specfication only when its use
has to be disallowed.

8. The attribute name "type" and element name "Types" are very confusing.
Remember to say "MIMEType","ContentType", or "MediaType".

9. Case-insensitive comparison is archaic.

10. Whey "contentTypes" as summarized in Table 10-1 are different from
MIME content types?

11. We are not convinced if Annex H (Conformance Requirements) are
useful.

投稿者: 村田 真 日時: 2007.07.02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLとODFの仕様書はどちらが読みやすいか

実際に、相当のページ数をあたってみて、OOXMLのほうが圧倒的に読みやすいと思う。

ODFは、まったく書き足りてないので、想像をたくましくして読んでいくしかない。しかし、読むほうに想像力を要求する規格書では困るのだ。読めども読めども自分の理解が正しいのか分からず、不安で仕方がない。時間をかけても無駄なのではないかと思うことが多い。

一方、OOXMLはページ数こそ圧倒的に多いが、少し読めば少し理解が進んだのが実感できる。この作業を続けていけば、すべてを理解することが出来るだろう。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.07.04 | | コメント (1) | トラックバック (0)

またSC34参加国が増えた

P-membersとしてブルガリア、 コートジボワール, スウェーデンの三カ国、O-membersとしてギリシア、メキシコ、スリランカの三カ国である。 最新のリストを参照。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.07.11 | | コメント (0) | トラックバック (0)

日本のOOXML投票

SC34専門委員会としては、No with commentsを答申することに、きのう決まった。No with commentsとは、コメントが満たされれば賛成に回るという意味であって、絶対反対という意味ではない。

ただし、日本コメントに充分満足のいく形での回答がEcmaから投票期限までにあれば、Yes with commentsにする可能性も残した答申である。

結論を出すのは技術委員会なので、最終的にNo with commentsになるかどうかはまだ分からない。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.07.21 | | コメント (0) | トラックバック (0)

技術委員会でのOOXML投票についての審議

No with commentsに決まった。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.07.31 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLの投票結果

賛成17、反対15、棄権9だったという。賛成は(棄権を除いて数えて)2/3必要なので、
このままでは足りない。英文では、CNETの記事Andy Updegroveの記事などがある。

しかし、ballot resolution meetingで、反対から賛成に変えることができる。正確
にいうと、これは条件付反対という投票の場合であり、無条件反対の場合は変え
られない。反対のうち、条件付反対がいくつあり、無条件反対がいくつあるかは
分からない。

5ヶ国が反対から賛成に回れば、OOXMLはISO/IEC規格になることになる。来年
2月にジュネーブで開かれるballot resolution meetingまで、このバトルは終わらない。

追記:
New York Timesの記事、Wall Street Journalの記事などが
出ている。今週中には数え切れないほど増えるだろう。

追記その2: ISOからの正式発表が出ている。

追記: いまごろ書いても仕方がないが、賛成・反対・棄権のどれも自由に変えられるらしい。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.09.04 | | コメント (0) | トラックバック (1)

SC34の新メンバが与える害

SC34のメンバは急増している。これらの新メンバは、OOXMLとまったく関係のない
投票案件に対して興味をもっていないようだ。

ISO/IEC JTC1の規定では、50%以上の投票率が得られなければ、投票は
失敗するという規定がある。実際に、ある投票が、この50%ルールのために
失敗している。このままだとOOXML以外のSC34の仕事はまったくストップ
してしまうのだ。

追記(2007 10/8): その後も、50%を達成できないことによる投票失敗は
続いている。失敗したのは、RELAX NGとNVDLの正誤表の投票であり、
私としては実害を被っている。SC34及びJTC1として対策をとるべきこと
を強く主張していく。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.09.10 | | コメント (1) | トラックバック (0)

Japanese vote on OOXML

Japan voted "Conditional disapproval". Japan may change the
vote to yes at the ballot resolution meeting if the Japanese
comments are resolved satisfactorily.

日本は、条件付反対を投じた。日本コメントが満足できる形で
解決されれば、日本はballot resolution meetingにおいて投票を
賛成に変えることがありうる。

Ecma TC45 appears to be considering the Japanese comments carefully.
They e-mailed to the Japanese member body for SC34 and
outlined dispositions of four major comments, which are
most significant. The proposed dispositions look quite reasonable
to me. However, the final dispositions (and the final Japanese vote)
will be made at the BRM next year.

Ecma TC45は、日本コメントを注意深く検討しているらしい。
Ecma TC45は、SC34専門委員会(日本)にメールを送り、四つの
最重要コメントをどう処置するかを大まかに示した。提案された処置は真っ当な
ものだと私は思う。しかし、最終的な処置(および日本の最終投票)は
来年のBRMの席上で決まる。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.09.11 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLへの各国のコメント

各国のコメントが公開された。
これを調べれば、どの国が賛成に回る可能性があるか、ある程度の検討はつくだろう。

コメントの数は多いが、複数の国が完全に同じ(単語まですべて同じ)コメントを
出していることがあるので、本当にどこまで多いかはソートしてみないと分からない。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.09.13 | | コメント (0) | トラックバック (0)

各国のコメントの概要

Rick Jelliffeが、OOXMLについての各国のコメントについてのを述べて
いる。日本はParrot(人から聞いたことをそのままコメントする人)ではなくて
Indie(自分で仕様を読んでコメントする人)だそうな。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.09.17 | | コメント (0) | トラックバック (0)

Ballot Resolution Meetingまでの日程

OOXMLのballot resolution meetingは、来年2月25日からジュネーブで行なわれる。
1月14日までに、各国のコメントを取り入れて修正したドラフトが、Ecmaによって提出
される。今年12月には京都でEcmaのミーティングが開かれる。

BRMのとき、すべての国は投票を変更できる。つまり、現段階の賛成・反対・棄権という
投票結果はすべて覆すことが可能なのだ。

追記: 12/8からSC34総会が京都であるが、この席上ではOOXMLの審議は公式には
できない。各国が、投票結果を考慮するための期間がとられており、その期間には
公式の審議はできないことになっている(水面下ではもちろんいろいろあるだろう)。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.09.19 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLへの反対投票が多いからといって駄目とは限らない

OOXMLは、(新参のP-memberによる多くの賛成票にもかかわらず)、判明した
投票結果では充分な賛成を得ていない。

しかし、一般に思われているほど、これはOOXMLにとって悪い状況ではない。
各国は、テクニカルなコメントが一つでもあればいったん反対し、Ballot Resolution
Meetingの審議結果を待って、最終的な投票を決めるというのが当然の手続き
なのである。一般に、真面目に読んでコメントする国は反対票を投じるものだ。
逆に、賛成が圧倒的に多いということは、真面目に読んだ国が少ない(つまり、
その規格案はどうでもいいと考えられている)と、私は受け取る。SC34にも、
そういう投票案件はいくつもある。

では、ODFのとき、なぜ反対票がなかったのか?欠陥のない仕様というわけ
ではまったくないのに?オープンなオフィス文書規格という理念に各国は賛成
したのであって、仕様書の詳細には各国とも目を瞑ったのだと思う。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.09.29 | | コメント (1) | トラックバック (0)

OOXMLのBRMについて

OOXMLの投票のとき寄せられた3522のコメントから重複を除くと1030
だったという。

BRMのあとで、投票を各国は変えることができる。私は、BRMの席上で変更するの
だろうと思っていたが、BRM終了したあと30日の猶予があるそうだ。ジュネーブで
日本代表団が揉めることはないが、BRM終了後にはなにがあるだろう?

なお、ここで示した情報は、すべてBRMの議長のAlex Brownのブログによる。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.10.26 | | コメント (0) | トラックバック (0)

京都でのEcmaTC45のミーティング

OOXMLのEcma TC45のミーティングが京都で12/4から12/7まで開かれる。
オブザーバとして全日参加しようと思っている。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.11.02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

AppleのOOXML実装

Ecma TC45の京都ミーティングで、AppleのOOXML実装を見せてもらった。すでに
Leopardの一部として出荷されている。OOXML文書がいくつもあるディレクトリで、
文書の先頭ページを立て続けに表示して、文書を探しやすくしている。エディタiWork
などもちゃんと動いているようだ。ああ驚いた。

Jean Paoliによると、Appleとのミーティングで、いきなりプログラマが6人出てきた
ので、Appleは本気だとつくづく思ったという。

投稿者: 村田 真 日時: 2007.12.18 | | コメント (0) | トラックバック (0)

ODFのdefect

ODFの翻訳のとき、数多くのエラーを発見した。それらの一部(誰が見ても明らかなもの)を、去年日本からdefect reportとして発行した。いつ、これに対する正誤表がOASIS及びISO/IECから発行されるだろうか?

投稿者: 村田 真 日時: 2008.01.07 | | コメント (0) | トラックバック (0)

Ecma TC45の回答

OOXMLのBRMの日が近づいてきている。現時点でのEcma TC45の
回答をすべてダウンロードしてみた。

回答はすべてPDF文書であり、全部で2839個ある。各国のコメント
に重複があれば、回答にも重複があるので、実質的には1000程度
のはずである(コメントは全部で1030)。回答は、一ページのものもあ
れば、十ページ以上になるものもある。おそらく、重複を除いても、
1000ページではきかないだろう。ききしにまさる長さである。

[追記(2008 1/23)] すべての回答をまとめたPDF文書は2293ページ
ある。重複するコメントに対する回答は、一箇所にまとめられている。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.01.09 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXML日本コメントへのEcma回答

Ecma回答を一日かけて精査した。まだ問題は残っているが、Ecma回答が
大変な力作であり、日本コメントを可能な限り取り入れようとしたもので
あることを認めておかないと不公平だろう。他国のコメントへの回答もページ数
から判断すると、おそらく同様だと思われる。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.01.26 | | コメント (0) | トラックバック (0)

SC34における日本の地位

ODFとOOXMLは、ISO/IECにおいてはSC34に割り当てられている。このSC34において、
日本はとても重要な地位を占めている。幹事国であるばかりか、WG1の議長(私)と
WG2の議長(小町教授 )を出している。また、SC34からEcma TC45へのliaisonも、
私が務めている。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.01.31 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLとODFについてのBurtonレポート

OOXMLとODFの現状と将来について、Burtonグループがレポートを出した。それに対し
てODF陣営は反発している。逆に言えば、BurtonレポートはODFに対して辛い点を
つけている。

この件についてBurtonグループのblog記事から、いろいろな情報が得られる。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.02.01 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLのBallot Resolution Meeting速報

いろいろな記事が出るだろうし、ブログにもいっぱい掲載されるだろう。そして、
そのほとんどはどうせ嘘ばかりだ。

今回のBRMは、テキストを改善する場であり、OOXMLを規格化するかどうかを
最終決定する場ではない。どう改善するかだけが今回のBRMの結果である。
この結果をもとに、各国は昨年の投票を変更することができる。どう変更するか
は、まったく各国の判断による。なお、日本コメントはほとんど受け入れられている。

Tim Brayのブログ(これこれ)は、有益である。BRM議長のAlex Brown
現時点で唯一の正確な記事だという。私もそう思う。ただし、What Was Good,
What Was Bad, What’s Next?はTimの意見表明であり、Alexはコメントしていない。

私が言ったことも書いていたので、Timが言ったことも書いていいだろう。彼は、
ODFの仕様書をまったく読んでいないのだそうだ。

追記: Timの記事でThe Resultに書かれていることも彼の意見表明である。私は、
DISから"somewhat better"でしかないという彼の意見に賛成しない。DISより
大幅に改善されたと思う。ただし、充分かという点は議論の
余地がある。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.03.03 | | コメント (0) | トラックバック (0)

BRMに関する報道の誤り

誤りの多い記事の一例として、 「OOXML Fails to Get Majority Approval at BRM - Updated 3Xs」をあげておく。多くの記事が
これから孫引きしているので、その誤りを引き継いでいる。

"but OOXML still couldn't get a majority of the delegations to back it at the BRM"は
明らかにミスリードを狙っている。BRMでは、OOXMLに対する変更だけが議論され、
OOXMLをISO/IEC規格にするかどうかは議論の対象外である。議論の対象外なのだ
から、賛成多数を得られるわけもない。

"approve all proposed resolutions in a single vote before the end of the BRM"も誤り。
個々のresponseについて、個別に投票が行われている。ただし、各国が1000以上の
responseについて賛否を表明するのは大変なので、各国のデフォルトは何かを指定
することはできる。ある国は、デフォルトを不承認としたが、ほとんどすべてのresponse
について承認・不承認を表明している。

"refuse to vote"(投票を拒否)も誤り。"do not wish to record the vote"(投票を記録
に残したくない)をデフォルトとして選択したというのが正しい。これをデフォルトとして選択
したある国は、個別のコメントに承認・不承認を表明している。

誤りの多い記事など読む必要はない。前の記事で書いた、Tim Brayの
ブログだけ読めばよい。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.03.04 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLについてのもう一つの記事

Tim Brayの記事のほかにも事実についてほとんど誤りのないものとして、ギリ
シャ代表団の人が書いた記事がある
。私はこの記事のことをTimの新着記事で知っ
た。

Paper ballotの真実については、この記事がいちばん参考になる。ただし、
abstainとdo not wish to record our positionは、ニュアンスが違う
(abstainは消極的反対)という指摘はある。

しかし、この記事で表明されている意見(事実と意見は区別して書かれてい
る!)に私は必ずしも同意しない。たとえば、"My opinion, for example,
and many delegates agree with me, is that the Ecma responses make the
text slightly better, but though slightly better it is still abysmal."
(注: abysmalは酷いという意味)に、私は賛成しない。大幅な改善の例をいくつ
かあげる。1) non-ASCII OPC part名を許せという日本コメントを、Ecmaは完全
に受け入れてOPCを大改定した。2) IETFに通っていなかったURIスキームを落
とす又はIETFに登録せよという日本コメントも、Ecmaは完全に受け入れ、IETFに
登録した。 3) スキーマが、マイクロソフトの検証器でしか動かないという日本
コメントもEcmaは完全に受け入れ、他の検証器で動作するよう修正した。ほか
にも、大きな改善となっているdispositionは日本の分だけでもいくつかある。
もちろん、問題を隠すだけのdispositionもあるし、多少改善したに過ぎない
dispositionもある。

BRMの結果でどこまでOOXMLが改善されたかの正確な評価は、paper ballotで
通ったすべての変更を見ないと分からない。私も、これからすべての変更をもう
一度見てみるつもりである。

なお、この記事は、先に言及した 「OOXML Fails to Get Majority Approval
at BRM - Updated 3Xs」
について、"overinterprets the paper ballot"だと
書いている。実に礼節をわきまえた言い方であると私は思う。

追記: 上に書いた大幅な改善のうち、1)と2)はpaper ballotで承認されている。
ギリシャ代表団は、各国のコメントを精査してはいないそうだから、きっと
気づいていないのだろう。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.03.06 | | コメント (0) | トラックバック (0)

ODFのproject editorによるOOXMLについての肯定的評価

Patrick Durusauは、SC34/WG3の議長であり、ODFのproject editorの
一人でもある。彼は、ODFのほうがOOXMLより優れていると考えて
いる。

しかし、彼はOOXMLについて肯定的な評価をしている。OOXMLは
オープンな標準化プロセスを経ていると言い、OOXMLとODFの両者が
SC34で発展していくこと
を望み、BRMの結果を聞いてOOXMLの
承認を薦め
ている。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.03.07 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLへの投票の変更状況

反対から賛成に変更したのは、私の知る限り、現在で六ヶ国である。逆に、賛成
から反対・棄権になった国が二つある。きわめて接戦であり、OOXMLが規格として
成立するかどうかは予断を許さない。結果は月曜には判明する。

訂正: 投票は締め切られた。現在七ヶ国が反対から賛成に変えた。逆に、賛成から
反対・棄権になった国が三つある。依然として、予断を許さない状況である。

訂正: 私の知る限り、反対から賛成に変えたのは八カ国(P-member)である。賛成から
棄権になったP-memberが一つ。 賛成から反対になったP-memberが一つ。賛成から
反対になったO-memberが二つ。依然として結果は分からない。

その後: OOXMLは承認されたらしい。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.03.29 | | コメント (0) | トラックバック (0)

OOXMLの承認と日本投票

OOXMLは、各国が投票内容を変更した結果、ISO/IEC規格として承認された。

もう公開してもよいと思うので、日本投票について述べる。日本は反対から
賛成に変えた。賛成することは技術委員会における投票によって決定された。

私はBRMについて技術委員会で報告し、投票は棄権した。プロフェッショナル
の誇りにかけて言うが、公正かつ的確な報告をしたつもりである。いずれ,情報
処理学会規格調査会のページで、BRM報告書は公開される。

投稿者: 村田 真 日時: 2008.03.31 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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