村田真のXMLブログ

日本人で唯一W3CのXMLワーキンググループに参加しXMLの標準化プロセスに携わったXMLの生みの親、村田真さんのブログです。

OASISのODFとISO(及びJIS)のODFとの乖離

OASISのODFとISO/IECのODFはすでに別物だし、今後もさらに乖離していく可能性がある。JIS規格として用意しているODFは、ISO/IECのODFに基くので、OASISのODFとは別物である。


  1. ODF 1.1 (OASIS) .vs. ODF 1.0 (ISO/IEC JTC1 SC34)

    OASISはODF 1.0を制定し、ISO/IEC JTC1に提出した。そのあとで、ODF 1.1をOASIS standardとして制定した。ODF 1.1はISO/IEC JTC1には提出されていない。具体的には、アクセシビリティの機能は、OASISのODF 1.1にのみ存在し、ISO/IEC 26300には存在しない。細かいことをいうと、OASISのODF 1.0 standardとISO/IEC 26300が完全に同一なわけではない。日本コメントで要求したIRI(non-ASCII文字を含んだURI)は、ISO/IEC 26300には含まれるが、OASIS ODF 1.0には含まれていない。

  2. OASISのみに適用される正誤表

    日本がJIS ODF原案作成中に報告した誤りの一部(昨年末までに年報告したもののさらに一部)は、OASIS ODF 1.0の正誤表によって対処される。しかし、ISO/IEC 26300がいつどのように修正されるかはまったく分からない。修正しないという話すらOASIS側から出ている。

OASIS側は、ISO/IECのODFをOASISのODFと一致させることに否定的である。そもそも、OASIS standardとしてのODFにある誤りを修正することすら、きわめて反応が遅い。詳しくは、Jasperのブログと、OASISのコメントメーリングリストアーカイブを参照

投稿者: 村田 真 / 日時: 2008.08.26

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