村田真のXMLブログ

日本人で唯一W3CのXMLワーキンググループに参加しXMLの標準化プロセスに携わったXMLの生みの親、村田真さんのブログです。

フランスでの博士号審査 アーカイブ

博士号審査に出席して

フランスで、XMLに関する博士号の審査に参加する機会があった。旅費は向こうもちである。

たぶん、こんな機会は滅多にないことだと思う。記録に残しておくため、一連の記事を投稿するつもりである。

投稿者: 村田 真 日時: 2006.12.13 | | コメント (0) | トラックバック (0)

審査を依頼してきたのは...

私の旧知のVincent Quintである。INRIAでAmayaなどを研究するグループのリーダを勤めている。W3Cでは、現在はTAGのco-chairであり、以前はW3Cチームの一員であった。私とは、WOODMAN '89 Workshop on Object-Oriented Document Manipulationというワークショップの頃からの知り合いである。なんと、20年近くも、お互いこの分野にいることになる。

博士候補者は、Pierre Genevèsである。商用のイメージ編集ソフトを独力で作成した経験からも分かるように強力なプログラマである。XMLの分野で用いられる数学理論をたいへんよく理解している。

投稿者: 村田 真 日時: 2006.12.15 | | コメント (0) | トラックバック (0)

博士論文のテーマ

候補者の博士論文のテーマは、XPath式を比較して、等価であるかどうか
などの判定をすることである。

具体例を示す。

Q1: /site/regions/*/item[parent::namerica or parent::samerica]
Q2: /site/regions/namerica/item | /site/regions/samerica/item

Q1が返すノードとQ2が返すノードは必ず一致するという判定を、彼の
実装では20ms程度で行う。

スキーマ(DTD)がある場合は、スキーマの制約も考慮して、判定
する。たとえば、SMILのDTDのもとで以下の二つのXPath式を考える。

Q3: smil/head//layout
Q4:: smil/head//layout[ancestor::switch]

Q3が返すノードであってQ4が返さないものが存在するという判定
を、彼の実装は81msで行っている。

博士論文審査のときの資料博士論文ドラフトに詳細がある。

この研究を、あなたはどう評価するだろうか?

投稿者: 村田 真 日時: 2007.01.08 | | コメント (1) | トラックバック (0)

関連情報

<< 前のカテゴリ:技術情報です。

メインページへ戻る