ここにもXML

企業情報の交換

2004年9月号掲載記事

インターネットの普及や電子政府の進展に伴い、企業情報を再利用可能な電子データとして流通させる必要性が高まってきている。その企業情報の中でも最も重要な情報が財務関係の情報であり、その標準仕様として「XBRL」(eXtensible Business Reporting Language)が注目され世界的に普及が進んでいる。

XBRLの背景と目的

XBRLの目的は、企業の財務データを、各企業およびその使用しているソフトウェアやベンダーに依存せず、標準的に財務報告書を作成、開示、交換、加工ができるようにすることである。XBRLは、もともとは米国公認会計士協会(AICPA)が開発したものである。1998年に米国公認会計士協会に所属するチャールズ・ホフマン氏が、従来方法による財務情報の電子化の不便な点を解消するために発案したことがきっかけだ。氏の発案を基に1999年7月には、XFRL(eXtensible Financial Reporting Language)として米国公認会計士協会での公式プロジェクトとして発表され、2000年4月には現在のXBRLという名称になった。このような動き受け、日本では2001年4月に日本公認会計士協会を中心としてXBRL Japanが発足し、日本の制度や市場において必要な仕様の開発や普及啓蒙に乗り出した。

このようにしてスタートしたXBRLが国際的に普及してきた背景には、インターネットの普及や企業のIT化をベースにした業務のスピードアップがある。従来は、期単位や月単位で処理していたものを週単位、日単位で処理するように求められている。また、業務のスピードアップにともない、各企業の決算発表の迅速化、財務諸表をベースとした各種監査や審査の迅速化も求められている。このような処理のために従来は各企業が独自の会計システムを使い、最終的には紙に印刷したり、PDFを生成したりして処理を行ってきた。しかし紙やPDFでは、人が見る分には良いが、その情報をデータ化し加工や分析を行いたい場合には、再度手入力を行うなどの多大な手間がかかっていた。

XBRLを使うことで、企業の財務情報である、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書、有価証券報告書、決算短信などを容易に流通させ処理を効率化することが可能となる。そして、XBRLが標準化されていることで、これを使用する金融機関、監督機関、投資家など、様々な当事者間で財務情報を扱うことができる。

XMLが採用された理由

XBRLにXMLが採用された理由は第1に、OS、ソフトウェア、言語、ベンダーに非依存であることだ。冒頭でも述べたように、財務情報は企業活動のあらゆる場面で利用される情報であり、様々な企業や機関が関わってくる。個別の技術や製品に依存しないデータ形式として、XML以外の選択肢は事実上なかったと言える。第2に、データの二次加工が容易であることである。標準的に電子化するだけなら、HTMLやPDFといった選択肢もありうるが、二次加工の容易さを考えるとHTMLやPDFでは不十分である。第3に、XMLの周辺技術が豊富であり柔軟性に富む企業財務データを柔軟に記述するのに適しているということが挙げられる。つまり、企業財務データは、各国の会計基準その用途または業界などによって様式が異なるが、その差異をXML SchemaやXLinkといった標準化された技術によってカバーすることができる。さらに、XMLは、対応製品や、技術ノウハウが市場に豊富にあることが普及を促している。

XBRLのメリット

全ての企業に関わる財務情報だけにXBRLの用途は幅広い。まずXBRLを外部へ提供する用途としては税務申告、証券取引所や投資家への情報開示、金融機関への融資申請がある。また企業の内部的な用途としては、子会社の自動連結処理、会計士、監査法人などとの間でのデータ処理の自動化などが挙げられる。さらに、財務情報を二次利用した企業信用情報サービスなどにも活用される。

XBRLが普及すれば、企業情報のサプライチェーンといえるものが出来上がる。このことによって第一義的には、銀行や税務署、証券取引所といった企業の財務情報を収集・分析する立場にある企業や団体が恩恵を受ける。例えば監査法人は、顧客企業からXBRL形式の財務情報をインターネット経由で入手すれば、監査のためのデータ集計・分析業務の手間を大幅に軽減できる。現在はほとんどの場合、紙で財務諸表を受け取り、それを手作業で集計したりコンピュータに入力するなどの手間がかかっている。

一般企業にとっても、XBRLの利点は大きい。まずは証券取引所や投資家への情報開示、法人税の申告、銀行への融資申請などといった事務処理が簡素化されることである。また、処理の迅速化によって早期に的確な情報開示が可能となり企業信用の向上にも役立てることが可能である。さらに、グループ企業の財務情報をXBRL形式で送受信することができれば、連結決算処理の事務作業のスピードアップに貢献できるだろう。昨今では合併や買収に伴い、関連会社であっても異なった会計システムを使用しているケースも多い。統合する企業の会計システムがXBRL形式でデータを管理していれば、会計システム統合の手間を軽減できる。

さらに、企業信用情報も現在は紙やPDFで提供されるケースがほとんどだが、XBRLでデータが提供されることで、手元での統計、比較、分析が容易になり判断の迅速化を助けることになる。

インフォテリア株式会社 代表取締役社長 平野 洋一郎

※こちらの記事の続き「XBRLの構造について」「XBRLのメリットと導入状況」 「XBRL実装に必要な機能とソフトウェアベンダーの対応」は下記のページでご覧ください。
http://www.infoteria.com/jp/xmlnote/column/article/xml_column_040902.jsp

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